移動や変化を意味する『R』の音

移動や変化を意味する『R』の音

移動や変化を意味する『R』の音

いろいろな言語音の話しをしてきましたが、数ある言語の音の中でも、「ルルルッ」という「R」の音は、言語の歴史において特に重要視されていたようです。

古い言語(ラテン語や古典ギリシャ語など)では、この「R」音は、今よりも強調して発音されていたことが窺われますし、殊に祈りや呪いの言葉(呪文の言葉)の中では、そうした呪文の効果をほどよく発揮するための「振動音」として扱われていたことが推察されます。

マントラ(西洋でいう「真言」「呪文」のこと)を唱えるさいも、「R」の発音のときには、英語やフランス語のような「あいまいなR(アー)」ではなく、ラテン語やドイツ語のように「Rrrr(ルルルッ)」と響くように発音するのが大事だとされているのです。つまり、「R」音とは空間上に何らかの「魔術的変化」(効果)を及ぼす作用をもつのかもしれません。

主に呪術用に用いられていたという、古代北欧バイキングの「ルーン文字」というものがあります。このルーンのアルファベットにもやはり、他の古代文字同様、それぞれに神秘的意味(象徴)があったと伝えられています(【表2】参照)。

その中で、「R」の音に当たるルーン文字(【図2】参照)の(「ライドー」あるいは「ラド」と読む)には、「車輪・車・戦車・移動や旅・運動・変形・引越し・自己制御・旅の護符」といった意味が秘められているといいます。つまり、「移動」や「変化」を意味する文字ということになります。

図2

英語の「RUN」(走る)や「RIDING」(乗馬)といった「移動することに関連した単語」も、このルーン文字の名前「ライドー」を起源とするという説があります。すなわち、ルーン文字の「ライドー(車)」(【図2】参照)が、そのまま「RIDE」(乗り物に乗る)という英単語の源というわけです。

このように、「移動することに関連した単語」には、なによりも「R」音が入っていることが重要なのでしょう(特に、頭文字の「R」が重要と考えます)。

日本の言霊の分野でも、この「R」の音に当たる「ラ行音」には、やはり「車や変動」といった意味が秘められているといいます。だから、乗用車の名前には「R音」や「ラ行音」が多く含まれる傾向にあるというのです。

『言霊相性占い』(坂口光男著 経済界 タツの本)という本の中に、そのことが紹介されていましたので、以下にその箇所を引用してみましょう。

「ラリルレロのいずれかを発声するときは、必然的に舌が転がるように仕組まれるのです。それではなぜラ行音が「流動・変革・転機」を示していると言えるのか?・・・(中略)・・・「回転・渦巻き・変動・流動」は、クルマ(ル)のような輸送物体や、螺旋状(ラセン(ラ))の階段、カセットテープなどのリールなど、いずれも回ることで機能します。・・・(中略)・・・ 

たとえば、車の名前を調べてみると、ラ行音の特異点『回転』『動的』を象徴していることが偶然でないことが分かります。

その、ごく一部を示すと、クラウン・ソアラ・コロナ・カローラ・セリカ・スープラ・プリメーラ・クレスタ・スターレット・アリスト・セドリック・スカイライン・ローレル・シルビア・アベニール・パルサー・チェリー・グロリア・シャトル・テルスター・レックス・ファミリア・ルーチェ・ミラ・ミラージュ・パルコ・パジェロ・セフィーロ・スバル・ラルゴ・レジェンド・スプリンター・ランクル・レパード・ギャランなど。

外国車では、ポルシェ・オペル・ローバー・ロールスロイス・シトロエン・ボルボ・ゴルフ・フォルクスワーゲン・フェラーリ・マセラティ・ランボルギーニ・アルピーヌ・アルファロメロ・ロータス・ベントレー・モーリス・ルノー・メルセデス・ランチァ・トライアンフ・カルマンギア・キャデラック・オールズモビル・クライスラー・シボレー・ウィリス・リンカーン(英語R音を含めれば、パッカード・スチュードベーカーも)。

R音がないのは、ナッシュ・ハドソン・ポンティアックぐらい。日本ではディアマンテ・ジムニー・シーマなど。」 以上『言霊相性占い』(坂口光男著 経済界 タツの本)より

舌を巻きながら発音する「R」音は、そうした「巻く」→「回転」→「車」→「移動」→「変化」のイメージから、そのような状態のものを表現する「単語」の「音」として選ばれる傾向にあるのでしょう。

そういえば、「R」音を表すエジプトのヒエログリフは、「人の口」の形をしていました。これもきっと、口がよく回る人と「R」音のイメージが重なったのではないでしょうか。

ある単語の中の「音」とは、こうした「身体感覚上のイメージ」によっても(無意識的に)選ばれているのだとしたら、系統のまったく違う多くの言語の間にあっても、同じものを表す単語には同じような音が使われることが、意外と多いのではないかと考えられます。そしてそれは「言語・感覚生理学的」、また「深層言語学的」には必然といえることなのです。

表02 

表03 

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